「何日食べてないんだ、お前は」
一護の言葉など気にも留めずに、
目の端でちらつく橙色に問う。
一護は前に回した手を解いて左手の指を見つめる。
「…一、二…、五日…? いや多少は食い物くらいあったけど」
こつんと頭を浮竹に預けて、そう答えた。
言葉に出しながら、この男はなんて変わり者なんだろうと
一護は考える。
少し体をその背から離してみれば、すでにその背は泥まみれだった。
初対面だし、金だってもっていない、いやむしろこんなところに
転がっていたのだ。そんな得体のしれない人間を自分の家に招くなど
とんだお人よしか、何かたくらんでいるかのどちらかしかない。
けれどなんとなく、この男の笑顔があまりにも寂しそうに見えたから
拒否することが出来なかった。拒否できる体力などのこってはいなかったが。
「一護?」
その言葉でふと我に返る。一護は「ん?」と小さく問い返した。
「ありがとう」
浮竹は少しの間その目を伏せて、傘を持ち直すと一護を振り返った。
言葉の意図がわからず一護はキョトンとしたが、しばらくして
「どーも」
とだけ答え完全に浮竹に体をまかせると、背中の温もりに目を閉じた。
■ ■ ■
あれ、もしかして青なじみって茨城弁?(;´Д`)
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